サーカディアンリズムが乱れると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが低下し、糖尿病のリスクを高めることはよく知られています。また、朝、太陽の光を浴びて副交感神経が高まると血圧が上昇し、夜になると血圧が低下するといった、血圧のリズムにも乱れが生じます。
このように、サーカディアンリズムの乱れは睡眠の質を低下させるだけでなく、体温や心拍、血圧、血糖値、ホルモンなどといった生理機能の変動リズムに影響し、糖尿病や高血圧、心筋梗塞といったメタボリックシンドロームのリスクを高めます。そのため、ブルーライトを多く浴びる生活をするだけでも、サーカディアンリズムの乱れによってメタボリックシンドロームになりやすいことが数多くの研究でわかってきました。
たとえば、マウスによる実験で、通常の光環境で過ごしたマウスと、夜間に光を浴びたマウスでは、同じカロリーの食事でも夜間に光を浴びたマウスのほうが太りやすいという研究報告もあります。
また、別の研究では、夜行性のマウスの場合、同じ量を食べても夜だけ食べていたほうが肥満になりにくいことから、食べるタイミングによってもサーカディアンリズムが乱れて肥満を招く可能性があることが示唆されています。
そもそも私たちの身体は、太古からの体内時計によって、昼間は代謝モードに、夜は蓄積モードになるようコントロールされています。夜はできるだけ早めに食事を済ませ、できるだけブルーライトの少ない環境で過ごすことが、メタボリックシンドロームを防ぐためには大切だと言えるでしょう。